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 2点目に、高齢者入居施設について質問いたします。

【道下】
1.特別養護老人ホームの整備について
 まず、特別養護老人ホームの整備についてです。
 平成18年に、国では、厚生労働省が医療制度改革の一環として、全国で約35万床ある療養病床を平成24年までに約15万床まで削減し、医療の必要度が低い高齢者を介護保険施設などや在宅療養において対応していく方針を示しました。
 しかしその後、退院した高齢者の行き場や在宅サービスが不足する問題が浮き彫りになり、国は22万床まで目標を緩和したものの、医療機関においては、厳しい経営状況の中、なかなか簡単に転換先が決まらないなどの声が聞かれます。
 このような中で道は、今年3月に第4期「北海道高齢者保健福祉計画・介護保険事業支援計画」を策定し、新たに特別養護老人ホーム2033床を整備するとともに、介護付き有料老人ホームなどの特定施設や認知症高齢者グループホームといった居住系サービスを合わせて7210床の整備を見込んでいると承知しています。
 これら整備に対する国の助成制度については、平成18年度から、定員29名以下の小規模特養などは、国からの市町村交付金で整備し、定員が30人以上の広域型施設については、道の単独補助金で整備することになっておりますが、市町村交付金については、このたびの経済危機対策により、単価アップするなど拡充し、「介護基盤緊急整備等臨時特例交付金」を創設されたと承知しております。
 今後、道では、第4期計画に基づき、この交付金等を活用しながら整備を行う市町村を支援していくこととなると思いますが、これまでは、特別養護老人ホームや老人保健施設を整備する場合、個人の自律を尊重するため、居室を10人以下の1つの生活単位とし、ケアを行うユニット型施設の整備が推進されてきたところであり、2人部屋などの多床室を希望する方々や自治体などのニーズに充分応えられていない現状にあると思います。
 このようなことから、2人部屋などの多床室と、ユニット型の個室が両方備えられた施設を整備していく必要があると考えますが、見解を伺います。

【知事】
 特別養護老人ホームの整備についてでありますが、道といたしましては、これまで、施設に入所していても、できる限り家庭的な雰囲気の中で、個別性に配慮したケアが行われるようユニット型個室を原則とする特別養護老人ホームの整備を促進してきたところ。
 こうした中、生活保護を受給されている方については、原則として、ユニット型特養の利用ができないとされていることなどもあり、市町村や関係団体からは、地域の実情も踏まえて、多床室の整備も認めて欲しいとの意見が寄せられたことから、道といたしましては、平成21年度に「老人福祉施設等整備方針」を見直し、特別養護老人ホームにおける従来型多床室の整備についても一定程度、可能とすることとしたところ。
 今後とも、市町村等のご意見を十分に伺いながら、必要な施設の整備に努めてまいる考え。

【道下】
2.有料老人ホームについて
 次に、有料老人ホームについてです。
 道内では特別養護老人ホームが充分に整備されていない一方で、空きのある民間の有料老人ホームは料金が高く、低所得者は入居が困難です。
 そうした中で急速に増えてきているのは、無届けの老人下宿といわれるような高齢者入居施設です。多くは老人ホームなどより低料金ですが、今年3月に群馬県で10人が亡くなられた老人施設「たまゆら」の火災事故で、その問題が浮き彫りになりました。
 この度、道が、高齢者を入居対象としている賃貸住宅166施設に対し、入居対象者や食事・介護等のサービス提供の有無について調査したところ、有料老人ホームに該当するものが18施設あることが明らかになりました。
 これらの施設に対しては、早急に届出を行うよう強く指導すべきとともに、届出がなくとも防火安全体制などにかかる指導を最優先に行うなど、有料老人ホームの安全安心の確保に向けて、行政として強い意識でこの課題に取り組んでいかなければならないと考えますが、知事の見解を伺います。

【知事】
 有料老人ホームについてでありますが、本年3月に、道が実施した調査において、新たに有料老人ホームに該当すると判断された施設は、18施設であったが、これらの施設に対しては、速やかに道への届出や防火安全体制などを確保するよう指導してきたところ。
 その結果、既に10の事業者からは届出があり、残りの事業者についても適切に対応する意向が示されるとともに、防火安全体制などの改善も進められていることから、今月中を目途に届け出が行われるよう引き続き指導してまいる。
 道といたしましては、これからも市町村や関係団体の協力を得ながら、有料老人ホームに該当する施設の把握に努めるとともに、防火安全体制などの確保についても消防機関等と連携して的確な指導を行い、有料老人ホームに居住する高齢者の方々の安全安心が確保されるよう積極的に取り組んでまいる。

以上