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 3点目として、道営競馬事業について質問いたします。

【道下】
1.収支状況について
 道は競馬事業について、平成22年度に単年度収支の均衡をめざす「北海道競馬改革ビジョン」を平成20年3月に策定しました。
 このビジョンは今後の基本的な考え方として、「北海道競馬は、産地に立脚という他にない優位性を持っており、産地の馬資源・ノウハウ等を最大限発揮させ、売上拡大と経費削減に向けた諸改革を実施することにより、赤字体質から早期に脱却し、競馬事業の継続と馬産地の更なる活性化を図る」としているとともに、「仮にこのビジョンの見通しが破綻する場合は、競馬事業を廃止することを基本とする」とも明記しています。
 そして知事も、昨年の第3回定例会において、競馬改革に不退転の決意で取り組んで参りたいと答弁されています。
 平成20年度の競馬事業収支において、馬券売り上げは当初計画より7.1%減、前年度より5億円少ない114億円ですが、単年度収支では前年度8.3億円の赤字から4.3億円の赤字に圧縮。地方公営企業等金融機構への納付金が不要になったことや、昨年12月に石狩市に場外発売場を開設したことが大きな要因だと承知しております。
 しかし単年度赤字に変わりはなく、累積赤字は昨年度で約239億円にもなりました。
 そこでまず、この累積赤字についての認識と、累積赤字圧縮や解消に向けてどう取り組むのか、知事の所見を伺います。

【知事】
 競馬事業の収支状況についてでありますが、北海道競馬は、昭和23年の開始以来、一般会計に約290億円を繰り入れてきたところですが、平成4年度以降、景気の低迷やレジャーの多様化、さらには運営改善の遅れなどから、極めて厳しい経営状況になっているところ。
 これまでミニ場外発売所の整備や、インターネット発売の充実、徹底した開催経費の削減など、様々な運営改善に取り組んでまいりましたが、平成20年度までの累積赤字が239億円に達していることについて、私としても重く受け止めているところであり、道財政が厳しさを増す中で、競馬事業を継続するためには、早急に単年度収支の均衡を図らなければならないものと考えている。
 このため、道では、昨年3月に平成22年度には収支均衡が図られることを目指した「北海道競馬改革ビジョン」を策定したところであり、これに基づき開催経費のさらなる削減に努めるとともに、魅力ある番組づくりやミニ場外発売所の開設などにより売上の拡大に努め、着実に運営改善を進めてまいりたい。

【道下】
2.今年度の競馬事業について
 次に、今年度の競馬事業について伺います。
 6月12日に開かれた道地方競馬運営委員会において、今年度の道営ホッカイドウ競馬の発売総額が11日現在で当初計画の93%にとどまっていると道側が報告したと承知しています。
 今年度のホッカイドウ競馬は全82日間の予定で、11日現在でまだ15日間しか実施されていませんが、それにしても、改革ビジョンにおいて改革の柱のひとつとしているミニ場外発売所での売り上げが低調で、好調なのは「Aiba石狩」のみということであり、これは大きな問題です。早急な対策が必要と考えます。
 今回の売り上げ減少の要因について知事はどのようにお考えなのか伺います。また併せて、今年度の残りの日程における売り上げアップなど早急な対策や、今後の売り上げ見込みを伺います。

【農政部長】
 今年度の売上げ状況などについてでありますが、今年の北海道競馬は、4月29日から札幌競馬場で開幕し、6日間実施したところでありますが、札幌開催については、
 ・景気の低迷や
 ・出走頭数が減少したことによるレース数の減などから、
計画に対し88.5%の売上げに止まったところである。
 5月20日からは、ナイター化した門別競馬場でこれまで11日間実施しておりますが、6月18日現在では計画対比で99.1%となっており、札幌開催も含めたトータルでは計画に対して95.6%に売上げが回復してきているところ。
 今後とも
 ・魅力ある番組づくりはもとより、
 ・民間活力を活用した場外発売所の早期開設や、
 ・売上拡大が期待できる首都圏ファンへのレース情報の提供、
 ・馬産地や協賛企業との連携によるPR活動の強化
などにより売上目標の達成に努めてまいりたい。

【道下】
3.場外発売所について
 次に、場外発売所について伺います。
 道は馬券発売の拡大に向けて、民間活力を生かした札幌及び道内空白地帯でのミニ場外発売所の早期設置に取り組んでいると承知しております。
 「Aiba」という愛称で、平成13年度から設置に取り組み、最近では今月9日に札幌市中央区にある場外車券売り場内に「Aiba札幌中央」を開設したと承知しております。
 また今後は、登別、釧路、そして私の地元札幌市西区の琴似地区での設置を計画しているということで、私は道からこの計画に関する連絡を受けて以来、関係する地区の町内会や住民、商店街などから意見を伺ったり、道主催の住民説明会に参加したりしました。
 説明会では、街の治安や風紀の乱れ、計画予定地の付近を通学する子供たちへの影響を心配する方々もおられた一方、商店街の活性化や地域の美化、雇用拡大などメリットに期待する意見や、本道の馬産地としての役割や経済的な重要性を指摘する意見も出されました。
 4月に当該連合町内会の総会が開かれたときには、一つの町内会から反対意見が出されたものの、その他の町内会は受け入れ容認の意思を示し、道営琴似場外発売所の計画が了承されました。
 その際、連合町内会から、周辺地域の街灯の設置や警備員の増員、駐車違反の取締りなど、いくつかの要請が出されたと伺っています。
 また最近になって、反対していた町内会に対して、今回の場外発売所を計画している民間設置者が、周辺地域の具体的な警備計画を提案説明し、町内会は同意したと聞いております。
 道は道営琴似場外発売所を設置するにあたり、環境、交通、防犯、青少年対策など、それら町内会などからの要請や説明会における住民からの様々な意見を受けて、道はどのような対応を検討されているのか伺います。また併せて、琴似場外発売所の設置に向けた今後のスケジュールを伺います。

【知事】
 場外発売所の設置についてでありますが、道では、競馬改革ビジョンにおいて、「民間の活力を活用したミニ場外発売所の整備」を発売拡大策の重要な柱と位置づけ、その開設に努めているところ。
 これまで、地域の皆様のご理解とご協力により、昨年12月、石狩市に「Aiba石狩」を、今年6月には、札幌市中央区に「Aiba札幌中央」を開設したところでありますが、こうしたミニ場外の開設に当たっては、地域の皆様の理解を得ることが最も重要であると考えている。
 琴似場外についても、住民の皆様から同意をいただいたところでありますが、これまで説明会などで出された意見を踏まえ、周辺の住民生活に影響を及ぼさないよう、適切に運営してまいりたいと考えている。
 今後、道警との協議や農林水産省の設置承認手続きを経て、できる限り早期に開設できるよう努めてまいりたい。

<再質問>
【道下】
 次に、道営競馬事業について再質問いたします。
 知事は、ミニ場外発売所に行かれたことはありますでしょうか?
 私は先日、初めてミニ場外発売所「Aiba札幌駅前」を見学してきました。
 そこはビルの5階と6階にあり、5階は無料フロア、6階は1席1500円の有料フロア。
 5階のフロアに降り立つと、客層はほぼすべて男性で、スーツ姿や普段着、作業服など様々ですが、競馬新聞やオッズを映すテレビ画面を食い入るように見るその姿に、最初は一種異様な雰囲気を感じました。これは、競馬場やミニ場外発売所に行ったことがない方、競馬に関心のない方なら同じように感じると思います。
 しかししばらくすると、フロアが明るくゴミもないこと、禁煙と喫煙のエリア分けなどクリーンな環境整備の普及に取り組んでいると実感するとともに、昔から言われているいわゆる「怖いギャンブル場」というイメージはほとんど払拭されました。
 私はこれまで一度も馬券を買ったことはないのですが、「自分もちょっと買ってみようかな」という気持ちになり、思い切って馬連100円買ってみました。結果は見事ハズレました。
 それにしても、百聞は一見にしかず、現在のミニ場外発売所は大変きれいで、怖くない場所でした。
 道営競馬事業の赤字体質の脱却に向けて、ミニ場外発売所を増やすことも必要です。さらに私は、これまで競馬に関心のない人もひきつけるような、たとえば連敗ばかりでも走り続けるハルウララのような馬がいるとか、女性ファンが増えるようなイケメン騎手がいるとか、何か話題づくりをしていくことも、北海道競馬の改革には必要ではないかと考えます。
 そうした点を踏まえて、道営競馬事業の今年度の売上目標118億円達成と単年度赤字解消に向けた知事の決意を伺います。

【知事】
 単年度赤字の解消についてでありますが、本年度の北海道競馬は、ビジョンに基づき、競馬の実施を北海道軽種馬振興公社に委託し、産地関係者の熱意や創意・工夫が十分発揮できるようにするとともに、門別競馬場を基幹競馬場として、全日程を「グランシャリオナイター」として開催するなど新体制のもとでスタートしたところである。
 私も先月、ナイター施設やスタンドなどを整備し、リニューアルされた門別競馬場を見て、改めて競馬改革に取り組む決意を強くしたところであり、産地と一体となって、不退転の決意で競馬事業の運営改善に取り組んでまいりたい。

以上