今日午後1時45分から開催された石狩湾新港管理組合議会の2013年第1回定例会において、石狩湾新港が発展するよう願いを込めて、下記の通り一般質問を行いました。
石狩湾新港の「弱み」つまり克服すべき課題の解決に早急に着手すべきとの質問に対し、やや動きが鈍い答弁で残念でした。
また水道事業に関して、当別ダムの水を利用する石狩西部広域水道企業団の今年4月からの事業開始に伴い、水道料金が改定(安くなる)するため、船舶給水事業の料金も改定する予定とのことです。
分かりやすくするため、質問と答弁を一問一答形式で掲載いたします。
【質問】
1.石狩湾新港将来ビジョンについて
①将来ビジョンについての今後の取り組み
大学教授や経済団体関係者などで構成される石狩湾新港将来ビジョン懇談会が昨年12月に「石狩湾新港将来ビジョン」を策定しました。その中では、石狩湾新港の「強み」活かすべき特性、「弱み」克服すべき課題が挙げられ、将来の方向性、基本理念と基本目標を掲げ、参考としていくつかの将来プロジェクトが示されています。
2014年度からの港湾計画に先だって参考となるよう策定された将来プロジェクトではありますが、今からでも取り組むべきプロジェクト、解消すべき課題があると思います。たとえば「コンテナヤード等の港湾の蔵置規模が、港の発展についていけず、狭隘化しており、その結果、非効率な荷役形態となっている。」これは大きな課題であり、いくらポートセールスを行っても企業にはマイナスイメージに働いてしまうのではないでしょうか。
今回策定された将来ビジョンに対する考えと、そこで示された内容、特に将来プロジェクトについて今後どのように対応、着手していくのか、私はすぐにでも取り組むべきと考えますが、お考え、今後の取り組みを伺います。
【答弁】<専任副管理者>
将来ビジョンの今後の取り組みについてですが、将来ビジョンは、将来、港がどのようにあるべきかについて基本理念や基本目標を設定したものであり、それに基づき20~30年度の具体的な取り組みを示したものが将来プロジェクトであります。
この将来プロジェクトにつきましては、平成25年度を目標とし、検討を行うこととしており、その中から、さらに10~15年程度将来に必要となる計画を平成26年度中に港湾計画へ位置づけ、その中で、なお緊急性を要する事業は、現計画をすみやかに変更し、事業に着手してまいりたいと考えております。
【質問】
②背後地域の企業との連携と輸出拡大について
将来ビジョンで示されている石狩湾新港の「弱み」の中で、「背後地域の企業は、石狩湾新港を利用していないことが多い。」という記載があります。一番近くにいて港を利用する可能性の高い顧客を逃していると言っても過言ではありません。
先日、道議会の特別委員会の道外調査で、北九州空港を視察しました。九州域内で発生する輸出貨物の67%が九州域外の空港から輸送されているデータから、北九州空港の地の利を活かせていない状況を認識し、空港周辺に限らず、九州北部の製造業をターゲットにして、国際貨物チャーター便や国際貨物臨時便の寄港、上屋や設備の充実を図り、貨物取扱量の増加と貨物拠点化の取り組みを進めていました。
港湾と空港は違うことは十分承知していますが、事業展開の手法、経営や営業の観点は似ていると考えます。
現在、円安が進み、輸出が促進する状況になりつつあります。ロシア極東・サハリン地域は急速な基盤整備、経済発展をしてきています。今後も日用品や建築資材、食料品の輸出拡大が見込まれます。
石狩湾新港地域に立地している企業はもとより、道や経済団体、海、陸、空の物流企業などと連携し、本州との海上輸送ルートの開拓、そして対岸諸国との定期コンテナ航路を拡大する大きなチャンスと考えますが、所見と今後の取り組みを伺います。
【答弁】<管理者(高橋はるみ知事)>
本港の海上輸送などについてでありますが、四方を海で囲まれた北海道においては、経済活動や生活に必要な物資の輸送のほとんどと海上輸送に依存しており、その拠点である港湾の役割は大きなものであります。
しかしながら、海上輸送網は多くが太平洋側港湾に集中していることから、特に、大規模地震等の影響による本道の物流の停滞を最小限にとどめることが出来るよう、太平洋側、日本海側港湾の相互補完体制の構築が必要であると考えているところであります。
また、本港の背後地域には流通関連企業が数多く集積し、本道の一大物流拠点が形成されており、これら企業からは、本港における海上輸送網の更なる充実が要望されているところであります。
一方で、経済成長の著しい対岸の東アジアの活力を取り込むことが期待されている中、特に、近接するロシアにつきましては、昨年のWTO加盟など、新たな市場としての期待が高まっており、今後も本港の重要性がさらに増していくものと考えております。
このようなことから、管理組合といたしましては、他港などとの連携を図りながら、国内外の海上輸送網の充実に向けた検討を進めてまいりたいと考えております。
【質問】
2.石狩湾新港発電所とLNG基地について
北海道電力は、石狩湾新港地域にLNGによる石狩湾新港発電所を建設することを決定し、2012年12月には当初計画を前倒しし、2015年9月着工、2019年2月に運転開始すると発表しました。そのことについて何点か質問します。
①港湾計画変更について
発電所の建設が予定されている西地区の建設予定地ならびにそれに伴って中央地区で拡張される予定のLNG輸入基地用地の売却について、どのようになっているのか、売却額も含めて伺います。
【答弁】<専任副管理者>
用地の売却などについてでありますが、昨年12月に北海道電力株式会社が発表した、平成24年度供給計画変更の概要によりますと、石狩湾新港発電所の1号機の着工は、平成27年度の予定とされていることから、西地区及び中央地区3工区の用地の分譲については、今後、同社から、申し入れがあるものと考えているところであります。
一方、西地区の分譲につきましては、土砂処分用地として埋立てを行った事業主体である国などの関係機関と協議してまいりたいと考えているところであり、中央地区3工区は、分譲を目的に埋立て、売却が可能でありますことから、分譲価格につきましては、埋立てに要した費用や利子などを基礎に、今後検討してまいりたいと考えているところです。
【質問】
②LNG基地の本格稼働による収益について
石狩湾新港中央地区にある北海道ガスの石狩LNG基地に昨年10月7日、ロシア・サハリンから第1船となるLNGタンカーが入港し、LNGの荷役作業を開始。そして昨年11月30日に営業運転を開始しました。LNGタンカーという大型船舶が今後も入港するわけですが、入港料や引き船使用料等、管理組合には具体的にどれくらいの収入増加があるのか、今後の入港スケジュールと併せて年間ベースで伺います。
【答弁】<専任副管理者>
LNG基地の本格稼働による収益についてでありますが、本港におけるLNG船につきましては、昨年10月7日の第1船入港以降、12月、1月、2月と計4隻が入港しております。
平成25年度のLNG船の入港につきましては、8隻程度、これによる入港料については、約2,073千円で、ひき船使用料については、約4,742千円となるものと見込んでおります。
【質問】
③ガスパイプラインについて
北海道ガス石狩LNG基地と北海道電力石狩湾新港LNG火力発電所との間にガスパイプラインが敷設される予定と承知しています。以前、定例会で質問しましたが、港湾内の海底に敷設するのか、陸上を迂回して敷設するのか、安全面やコスト面、港湾業務に対する影響などを踏まえながら検討されるべきと考えますが、北電、北海道ガスから何らかの連絡、相談はあったのか、また管理組合としてはどのように考えているのか伺います。
【答弁】<専任副管理者>
ガスパイプラインについてでありますが、平成24年2月の北海道電力が公表した「石狩湾新港発電所建設計画環境影響評価方法書」によりますと、ガス導管敷設ルートは、中央水路の下を横断することとなっておりますが、詳細については、承知しておりません。
管理組合といたしましては、今後、敷設ルートなどについて同社から具体的な協議があった時点で、関係法令等に基づき、現状や将来の港湾整備や船舶航行などへ支障とならないよう、適切に対応してまいりたいと考えております。
【質問】
3.水道について
石狩湾新港地域内では、上水道については、小樽市域は小樽市簡易水道事業、石狩市域は石狩市上水道事業、工業用水道については、北海道企業局の石狩湾新港地域工業用水道を利用していると承知しています。2013年度より、石狩西部広域水道企業団による当別ダムから取水した水道事業が開始されます。石狩湾新港管理組合では船舶給水事業を行っていると承知していますが、それらを含めて、組合の事業において対応、改定するものがあるのか伺います。
【答弁】<専任副管理者>
石狩西部広域水道企業団の事業開始による当管理組合の事業の対応についてですが、当管理組合の事業の中で、水道事業等と関連した事業については、船舶に飲料水等を供給する船舶給水事業がありますが、船舶給水事業の利用料金については、水道料金や給水業務に係る経費などから算定しております。
水道事業の開始に伴い、両市(石狩市、小樽市)の水道料金が改定になりますが、管理組合といたしましては、利用料金について今後、他の港湾との均衡などを考慮し、検討してまいりたいと考えております。
【質問】
4.風力発電について
石狩湾新港内で海上風力発電施設の設置が検討されていると承知していますが、関係団体との協議が当初の予定より遅れていると聞いております。今後の施設導入スケジュールはどうなるのか、見通しを伺います。
【答弁】<専任副管理者>
風力発電施設の導入スケジュールについてでありますが、国が策定したマニュアルにおいては、港湾の管理運営と風力発電施設の共生可能な立地を明確化するためには、港湾における適地の設定について港湾計画に位置付けることが適当であるとされており、これまで地元自治体を含め関係機関等と調整を図りながら、適地の設定を検討してきたところであります。
しかしながら、現時点では一部関係者からの合意が得られていない状況にありますことから、管理組合といたしましては、関係者からの理解を得られるよう引き続き協議を行い、協議が整った段階で、すみやかに港湾計画の一部変更を実施し、適地を設定する予定であります。
以上