2014年第3回定例会一般質問(9月19日)

【質問者:道下大樹】
 最後に、教育委員会制度の改正について伺います。

<教育委員会制度の改正について>
1.教育委員会の機能について

 地方教育行政における責任体制の明確化、地方に対する国の関与の見直し等を図るため、「地方教育行政の組織及び運営に関する法律」略称:地教行法が一部改正され、来年4月から教育委員会制度が変わります。

 今回の改正では、すべての地方公共団体に新しく「総合教育会議」なるものが設置され、首長が招集し、教育長や教育委員とともに教育行政の大綱の策定や教育の条件整備など重点的に講ずべき施策、児童生徒の生命・身体の保護等緊急の場合に講ずべき措置を協議・調整するとしていますが、「大綱」は最終的には首長が策定することになっています。

 これではこれまでの教育委員会本来の機能を果たすことができるのか懸念されるところですが、知事ならびに教育長それぞれの所見を伺います。

【答弁者:知事病欠のため副知事】
 教育委員会の機能についてでありますが

 この度の教育委員会制度の改正においては、「総合教育会議」の設置など、教育行政における首長の役割が明確化されたところでありますが、教育委員会については、合議制の執行機関として維持し、その職務権限は変更しないこととされており、また、所掌する事項に関する最終的な決定権限は教育委員会に留保されているところ。

 私としては、教育委員会が、教育水準の維持向上や地域の実情に応じた教育の振興に向けて、これまで担ってきた役割を引き続き果たすことができるよう、適切に対応してまいる。

【答弁者:教育長】
 教育委員会の機能についてでありますが

 この度の教育委員会制度の改正では、教育行政を総合的かつ整合性を持って推進するため、首長と教育委員会が協議・調整する場として「総合教育会議」が設けられた。

 総合教育会議では、首長と教育委員会が教育行政の大網や教育条件の整備等重点的に構ずべき施策、緊急の場合に構ずべき措置について、協議・調整することとなる。

 これは、教育委員会の権限に属する事務につて、予算の編成・執行や条例提案などの首長の権限と調和を図ろうとするものであり、教育委員会の職務権限は変更されておらず、従来の機能や役割を果たすことができるものと考えている。

【道下大樹】
2.教育委員会の中立性の確保について

 今年の第1回定例会におけるわが会派の代表質問に対し、知事は新しい教育委員会制度でも教育の政治的中立性は保たれると答弁されました。今回の改正では、新教育長・教育委員は地方公共団体の長が議会の同意を得て任命することや、教育長の任期を3年にして、首長が任命することをことさら強調したものになっています。

 さらには、総合教育会議において教育委員会と調整がつかない事項を首長判断で大綱に記載することが可能となっていたり、首長の権限ではない事項について、総合教育会議における調整の対象とはならないものの自由な意見交換として協議することは可能であるとしています。

 こういう内容では、首長が自分の意向を強要する恐れがあり、教育委員会の政治的中立性が保たれるのかどうか強い疑念を持たざるを得ませんが、知事ならびに教育長の所見を伺います。

【答弁者:総合政策部長】
 教育委員会の中立性についてでありますが

 教科書採択や個別の教職員人事など中立性が求められる事項については、首長が新たに設置する「総合教育会議」の議題とはされておらず、引き続き教育委員会の権限とされているところ。

 道としては、こうした新たな制度の下においても、各地域の教育関係者が当時者意識と責任を持って、それぞれの実情に応じ、創意工夫や主体性を発揮していくことができるよう、教育行政の中立性の確保に努めてまいる考え。

【答弁者:教育長】
 教育の政治的中立性についてでありますが

 新たな制度は、地方行政における責任の明確化や、迅速な危機管理体制の構築、首長と教育委員会との連携強化を図るものであるが、教育の政治的中立性、継続性、安定性の確保の重要性に鑑み、教育委員会を合議制の執行機関として残すとともに、教育委員会の職務権限は変更しないこととされていることから、最終的な決定権限は教育委員会に留保されており、引き続き、教育の政治的中立性が図られるものと考えている。

【道下大樹】
3.議会における教育長の所信表明などについて

 今回の改正では、新教育長の議会同意に際し、「資質・能力を十全にチェックする」ため、議会において所信表明やそれに対する質疑を行うことが考えられるとしています。議会としてはそれらを求めていくべきと考えますが、今後の道議会、市町村議会での扱いについて知事ならびに教育長の所見を伺います。

【答弁者:総合政策部長】
 新教育長の任命についてでありますが

 この度の制度改正では、教育委員会を代表する「委員長」と事務の統括者である「教育長」を一本化した新たな「教育長」を置くことにより、教育行政の第一義的な責任者を明確化することとしている。

 このため、新たな教育長は、首長が、議会の同意を得て任命することとし、同意に際しては、新教育長の担う重要な職責に鑑み、候補者が所信表明を行うことなども想定されているところ。

 いずれにしても、道としては、新教育長の任命に当たっては、道議会でのご議論も踏まえながら、適切に対応してまいる。

【答弁者:教育長】
 教育長の任命についてでありますが

 今回の改正により、首長は、教育委員長と教育長を一本化した新「教育長」を議会の同意を得て任命することとされており、法改正に関わる国の施行通知では、新「教育長」の担う重要な職責に鑑み、その選任にあたっては、議会における所信表明を行うなども考えられるとされている。

 任命同意に際して必要な手続きについては、その役割や職責等を勘案の上、決定することが重要と考えている。

【道下大樹】
4.教育委員会の会議の透明化について

 また今回の改正では、教育委員会の会議の透明化を図るとした上で、教育委員会をより多くの住民が傍聴できるよう、傍聴者数や開会時間、開催場所の工夫が望ましいとされ、審議の活性化のため、地域住民の民意の反映のため公聴会なども積極的に開催することが必要とされています。

 こうした点について今後、どのように進めようとしているのか、知事ならびに教育長の所見を伺います。

【答弁者:知事病欠のため副知事】
 教育委員会の会議の透明化についてでありますが

 今回の制度改正においては、住民に対して開かれた教育行政を推進する観点から、会議の透明化を図るとされたところ。

 私としては、道民の皆様への説明責任を果たし、そのご理解とご協力の下に教育行政を行うことが重要であると認識しており、道教委においては、この度の制度改正の趣旨を踏まえ、会議のより一層の透明化に向けてしっかりと取り組んでいただきたいと考えている。

【答弁者:教育長】
 教育委員会の会議の透明化についてでありますが

 道教委では、これまで、教育委員会の意思決定の過程を、広く道民の方々に理解していただくことができるよう、教育委員会会議の公開や審議概要の公表など会議の透明化に努めてきている。

 また、教育委員会の会議について、広く地域の方々に理解を深めていただく機会を設けるため、毎年度、移動教育委員会を開催し、可能なかぎり、多くの方に傍聴していただいている。

 道教委としては、今回の教育委員会制度改正の趣旨も踏まえ、学校関係団体等との意思交換会の実施や、地域の皆さんとの交流など、地域の意見を積極的に把握するための取り組みをこれまで以上に行いながら、教育委員会における審議の一層の活性化に努めてまいりたい。